2025年の秋は、台風が何度もやってきて驚きました。私の自宅の周囲は水はけが悪いのか、道路が3度も冠水。特に9月30日の台風では膝までの深さになり、バイクはもちろん車やバスも運行が止まってしまったため、泥水の中をじゃぶじゃぶとスリッパやクロックスで帰る羽目になりました。その際に足元が見えず、突然深みにはまったり、怪我をしたりしないかと冷や冷やしたものです。
このような汚染した状況での傷は、特に注意が必要です。しかも長い距離を歩くことになるので、皮膚はふやけて靴擦れもできます。ちなみに当院のスタッフの中には、真皮まで届く靴擦れを経験した人がいました。擦り傷にしても靴擦れにしても、傷は表皮までか、真皮まで達しているかによって感染のしやすさや治るまでの期間が変わってきます。そこで今回は、ある程度傷の深さを判断する目安についてお伝えします。
もし傷ができたら、まずは観察をしてみましょう。もしピンク色の地肌が出て、じんわり出血していた場合は、少なくとの傷は真皮に達しています。逆に、そこまででなければ傷は一番浅い表皮にとどまっていると考えられ、感染のリスクは低いです。石鹸できれいに洗えば数日で治りますし、傷跡も残らないでしょう。
真皮に達していたら、次に深さをみます。じんわりの出血が多いほど、真皮の深くまで傷が入っています。真皮の厚さは1~3mmのため、見た目では深さはわかりませんが、出血の感じは’目安の一つとなります。深いほど皮膚のバリアは弱くなり、感染のリスクは高まっています。痛いですが、砂粒などのごみは石鹸で洗い落としてください。翌日になると浸出液が出てきます。もしその浸出液の量が多い場合はそれだけ深いか、きれいな状態ではないと考えられます。治癒するまでの時間も10日ほどかかります。乾燥させず湿潤しら状態にした方が早くきれいに治るといわれているので、抗菌薬入りの軟膏やカットバンなどでの保護をおすすめします。しばらくは、傷の部分に色素沈着が残ることがあります。
さらに真皮を超えた深い傷は、皮膚のバリアは既に突破されているので、細菌などの感染リスクを考慮しなければなりません。破傷風も心配です。砂粒などのゴミが入っていたらきれいに洗い出しましょう。真皮を超えた傷は治癒に3週間以上を要します。そして、まず傷跡は残ります。このように傷は深さによってずいぶんと治り方が違うのです。
なお、やけども同様ですが、出血が見えないので深さの判断が難しいです。治り具合の遅さで深さを知るということも多いです。水泡が出てきたら真皮まで達していると考えられます。
きれいではない状態で負った傷、深い傷、深さの判断が難しく心配な場合は、医療機関で受診し相談をしてください。必要に応じて傷の処置や抗生剤の服用、場合によっては破傷風の予防注射をおすすめすることもあります。随分と痛々しい話になってしまいましたが、一番は予防すること。怪我はしないに越したことはありません。
ポイント
1.傷が深くなると感染のリスクが増える
2.傷が深くなると治癒に時間がかかる
3.傷が深いほど傷跡が残る
外科医 井上健



