近年、ベトナムでは製造業やIT分野を中心に外国人労働者の受け入れが増えています。企業にとって専門人材の確保は重要ですが、その一方で、労働者の健康管理や安全確保も欠かせません。こうした背景から、2025年8月に施行された「政令219/2025」は、労働許可証(ワークパーミット)に関するルールを改正し、健康診断の要件をより明確にしました。
原則として、ベトナム国内の認可医療機関で発行された健康診断書が必要ということは従来と変わりませんが、新政令では「外国で発行された診断書を使える条件」が新たに追加されました。ベトナムとその国の間に健康診断書の相互承認協定がある場合のみ、外国で受診した健診結果を使用できるというものです。
ここで注意したいのは、日本との間には現時点でその協定が確認できないことです。つまり、日本で健診を受けても、そのままでは認められない可能性が高いのです。仮に協定があったとしても、ワークパーミット健診では、内科、外科、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科、婦人科の診察が必須とされていますし、日本とベトナムでは検査項目の基準値が異なる可能性が高いため、ベトナムと同じ内容・基準値で受診できる健診施設を探すのは一苦労でしょう。加えて、翻訳、公証、外務省認証、さらにベトナム大使館での承認など、手続きは非常に複雑になります。そこまでしても、最終的に差し戻されるリスクは否定できません。
申請が遅れると、企業は採用計画を見直さざるを得ず、場合によっては、再度健康診断を受け直す必要があり、時間と費用が二重にかかることもあります。こうしたリスクを避けるためにも、最初から正しい方法で準備することが重要です。
ワークパーミット申請は、書類不備で遅れると企業にも本人にも大きな負担になります。時間とコストを考えても、現地での受診が安心です。健康診断の準備は「ベトナム国内の認可医療機関で受ける」ことを基本に、余計なリスクを避けるのが賢明です。
ポイント
1.ワークパーミットの申請に必要な健診要件が新政令で明確化
2.日本とベトナムの間に、健診に関する相互承認協定が締結しているか不明瞭
3.ベトナム国内の認可医療機関での健診受診が最も確実
健診部 石井孝子



